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人手不足の原因とは?
労働力人口と生産年齢人口から読み解く構造的課題

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多くの企業で人手不足が深刻化していますが、その原因は単なる採用活動の失敗ではありません。背景には、労働力人口と生産年齢人口の構造的な変化に加え、人材ミスマッチや人材の流動化といった複数の要因が存在します。本記事では、人手不足がなぜ起きているのかをデータと構造の視点から整理します。

目次

人手不足は「一時的な採用難」ではない

多くの企業で人手不足が問題視されていますが、その実態は単なる採用活動の失敗や景気変動による一時的な人員不足ではありません。採用を強化しても人が集まらない、採用できても定着しないといった状況が続いている企業も少なくはありません。こうした状況を正しく捉えるためには、

  • 「なぜ人が集まらないのか」
  • 「なぜ人手不足が解消しないのか」

を、表面的な現象だけでなく、構造的な視点から整理することが重要です。
労働力人口は増加しているにもかかわらず、人手不足が解消されない状況が続いていることからも、単純に「人を採れば解決する」問題ではないことがわかります。

労働力人口は増えているのに人手不足が起きる理由

2026年3月31に総務省が公表した労働力調査によると、2025年の労働力人口(年平均)は、7,004万人となり、過去最高を更新しました。これは、労働力人口が初めて7,000万人を超えたことを意味します。高齢者や女性の労働参加の進展、外国人労働者の増加などを背景に、労働力人口は拡大しています。

出典:統計局ホームページ/労働力調査(基本集計)月次結果

労働力人口の定義と最新動向

労働力人口とは、15歳以上で働く意思のある人、すなわち実際に就業している人と、仕事を探している失業者を合計したもので、短期的な労働市場の規模を表す指標です。この数値だけを見ると、労働市場は拡大しているように見えます。

出典:人口、労働力人口|労働統計用語解説|労働政策研究・研修機構(JILPT)

生産年齢人口の減少という構造的問題

労働力人口が増加しているにもかかわらず、人手不足が発生している理由として注目すべきキーワードが「生産年齢人口」です。
労働力人口は短期的な動向を示す指標であるのに対し、企業経営に大きく影響を与えるのは、長期的に労働力の中核を担う人口の動きです。

生産年齢人口とは何か

生産年齢人口とは、労働力の中核となる15歳以上65歳未満の年齢層に着目した指標で、長期的な労働力の動向を把握するために用いられます。この年齢層の規模が変化することで、将来の労働市場の規模も大きく左右されます。少子化が進行することで、15歳以上65歳未満の人口は今後も減り続けると見込まれており、その結果、人手不足はますます深刻な課題になると考えられています。

出典:生産年齢人口とは 経済・社会保障支える - 日本経済新聞

労働力人口と生産年齢人口の違い

労働力人口 生産年齢人口
定義 15歳以上で「就業している人」と「就業を希望し求職している人」の合計 労働力の中核となる15歳以上65歳未満の人口
指標の性質 労働市場への「参加状況」を示す 労働力供給の「母集団」を示す
指標の見方 短期〜中期の労働力確保状況を把握。制度・参加率の影響を受けやすい。 中長期の労働力基盤を把握。人口動態の影響を強く受ける。
増減に影響する主な要因
  • 高齢者の就業参加
  • 女性の就業率上昇
  • 外国人労働者の増加
  • 短時間就業の拡大
  • 少子化
  • 人口減少
  • 年齢構成の変化
近年の傾向 参加拡大により「増加傾向」
(見かけ上は労働力が増えている)
少子化の進行により「減少傾向」
(労働力の中核は縮小)

このように、労働力人口と生産年齢人口は、どちらも人手不足を語る際に用いられますが、指標の性質や増減の背景は大きく異なります。労働力人口は就業参加の拡大によって増加している一方で、長期的に労働力の中核を担う生産年齢人口は減少を続けています。この構造が、「人は増えているように見えるのに、人手不足が解消されない」状況を生み出しています。

少子化・人口減少が企業に与える影響

生産年齢人口は、1995年の約8,716万人をピークに、それ以降は減少を続けています。直近では約7,000万人台で推移しており、減少傾向が現在も続いています。総務省によると、2050年には約5,275万人まで減少すると見込まれており、その背景には少子化と人口減少があります。
労働力人口が増えることで短期的な労働力の確保はしやすくなりますが、生産年齢人口が減少すると、人手不足そのものは解消されません。企業にとっては、必要なスキルを持った人材の確保が難しくなるだけでなく、長期的な人材育成や将来の事業展開を見据えた経営戦略を立てにくくなるという課題があります。

出典:総務省|令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少

人材ミスマッチと人材流動化の加速

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人手不足の原因は、人口構造の変化だけではありません。求人者と求職者の条件が一致しない「人材ミスマッチ」も、人材不足を加速させる要因となっています。

求人と求職の条件が合わない現実

企業(求人者)が求めているスキルや経験と、求職者が希望する職種や労働条件が合わないことで、必要な労働力が確保できない状況が生じています。その結果、求人を出しても応募が集まらない、採用したくても採用できないといった問題が発生しています。

中小企業が不利になりやすい理由

特に中小企業では、求職者が集まりにくいことや、提示できる労働条件に限界があることから、人手不足が慢性化しやすい傾向があります。さらに、若者を中心にキャリアアップやより良い待遇を求めて転職する「人材の流動化」が進んでおり、必要な人材の流出や、安定的な労働力確保が難しくなっています。

まとめ|人手不足の原因は「人口構造」と「採用環境の変化」にある

本記事で見てきたように、人手不足は単なる採用難や一時的な人材不足ではありません。労働力人口が増加している一方で、企業活動を支える生産年齢人口は減少を続けており、この人口構造のギャップが人手不足の大きな要因となっています。加えて、人材ミスマッチや人材の流動化が進むことで、必要な人材を安定的に確保することが難しくなっています。特に中小企業では、こうした影響を受けやすく、人手不足が慢性的な課題となりがちです。

重要なのは、人手不足を「採用活動を強化すれば解決する問題」と捉えないことです。人口減少や少子化といった前提条件を踏まえ、なぜ人が足りないのかを正しく理解することが、今後の対策を検討するための出発点となります。人手不足の原因を理解したうえで、次に考えるべきなのは、

  • この人手不足が企業経営にどのような影響を及ぼすのか
  • どのような考え方で対策を検討すべきか

という点です。
次の記事では、人手不足が企業経営に与える影響や、対策を考える際の基本的な視点について整理しています。

人手不足が企業経営に与える影響とは?生産性低下とリスクの実態

企業が今すぐ検討すべき人手不足対策の3つの方向性

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