生活雑貨を幅広く取り扱う株式会社ロフトでは、以前からギフトシーズンや季節イベント時などの繁忙期に客数が急増。レジ待ちの行列ができるケースが多かった。こうした時期に合わせてチェックアウトシステムを確立しようとすると過大な投資が必要になってしまう。適正な規模の処理能力を確保しつつ、繁忙期に生じるレジ待ち行列をいかに解消するかが課題となっていた。
その点について、同社営業サポート部情報システム担当・柳澤秀樹氏は「ロフトの業態特性として繁閑の差が大きく、繁忙期にはレジに長い列ができ、お客さまにストレスを与えてしまう。店舗展開するデベロッパーからも要請があったため、アルバイト採用などで要員を増員し、本部から研修用のPOSを持ち込んだり、店舗で余分に機器を保有しておくなどの形で対応してきました」という。
しかし、こうした人海戦術にも限界があり、レジ待ちが長くなると、気が変わって購買そのものを取りやめてしまうお客さまも出てきてしまう。
このような事態を防ぐため、同社では業態にあったレジの効率的な運用方法を幅広く検討してきた。
「たとえば現在普及しているセルフレジの導入や、買上げ点数が少ないお客さまの専用レーン、カード決済専用レーンの設置、またスルーレジという形式で一方通行型の動線をつくるレジ方式などを検討しました。しかし、セルフレジは、ラッピングを希望されるお客さまが、精算した後に別のサービスカウンターに移動する必要が出てくる。専用レーン方式も、実際にお客さまを誘導するのはなかなか難しい。こうした検討を行うなかで、考案されたのが2008年より全店導入した『PDA販売システム』と呼んでいる方式でした」(柳澤氏)
このシステムは、1台のPOSレジに対して、複数のPDAで事前に売上登録を行い、POSでは精算のみを行うという方式。シャープのハンディターミナルを使用したこのシステムは一般的には「前さばき」とも呼ばれている。
支払額はPDAの画面に表示されることになるが、当初は「POSでの表示と比べて小さくて見づらい」という意見もあったので、改良を加えるなどして運用を行ってきた。