お客さまのスマホで注文とオンライン決済を実現するアプリ「Putmenu(プットメニュー)」を使用したオーダーシステムの運用が2017年7月に東京都渋谷区のレストランでスタートした。
システムを提供するのはボクシーズ株式会社(東京都千代田区/代表取締役・鳥居暁氏)。飲食店内での注文、会計業務の軽減化はお客さまにも店にもメリットがある。
このシステムはどのような技術に支えられ、どのような導入効果があるのだろうか。
シャープのPOSターミナルとPutmenu連携により、飲食店内での注文・会計業務の軽減とデータ分析強化。
お客さまのスマホで注文とオンライン決済を実現するアプリ「Putmenu(プットメニュー)」を使用したオーダーシステムの運用が2017年7月に東京都渋谷区のレストランでスタートした。
システムを提供するのはボクシーズ株式会社(東京都千代田区/代表取締役・鳥居暁氏)。飲食店内での注文、会計業務の軽減化はお客さまにも店にもメリットがある。
このシステムはどのような技術に支えられ、どのような導入効果があるのだろうか。
ボクシーズ株式会社が提供する「Putmenu」を使ったオーダーシステムは、帝人株式会社(東京都千代田区)、シャープ株式会社(大阪府堺市)、シャープビジネスソリューション株式会社(千葉市美浜区)、ソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社(東京都港区)、日本マイクロソフト株式会社(東京都港区)などの協力によって、飲食店のすべてのテーブルをIoT化。
店内での注文業務と会計業務の手間を削減し、注文データの分析も可能。12言語に対応し、インバウンド需要も取り込むことができる。
システムは、シャープが提供するPOSターミナル RZ-A391や、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム Microsoft Azureに連携。
決済は、「ソフトバンクまとめて支払い」「ドコモ ケータイ払い」「auかんたん決済」「LINE Pay」「Alipay」「PayPal」など、さまざまなオンライン決済サービスに対応している。
来店客は、まず来店前にスマホアプリ Putmenuで料理の選択と支払いを行う。後は来店して着席した時に、自分のスマホをテーブル上の Putmenu マークの近くに置くだけ。(図1、図2)
お客さまのスマホが、店舗スタッフが通常使用するハンディターミナルの替わりとなり、着席したテーブルが確定され、オーダーデータが自動的にPOSターミナルに送信され、さらにキッチンのプリンターで伝票が印刷される(図3)。それをもとにキッチンのスタッフが調理作業を進める、という手順となる。
また着席したテーブルを特定するシステムとして、帝人と株式会社タグキャスト(東京都千代田区)が開発した「ペーパービーコン(PaperBeacon)」を利用している。
こうしたシステム連携の結果、来店客がオーダーを行う時間はゼロになり、瞬時に注文を確定することができるだけでなく、すでにオンラインで決済されているため、料理を食べて退店する時のレジ会計作業も不要となる。
さらに注目されるのは、アプリが12言語(日本語、英語、中国語(簡体 / 繁体)、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、タイ語、カンボジア語、ベトナム語、ロシア語、スペイン語)に対応している点。
訪日観光客のインバウンド対策としても活用できるほか、来店客が外国語で注文しても、店舗は日本語でオペレーションをすることができる。
「Putmenu」を使用した店舗内オペレーションイメージ
来店前にスマホアプリ「Putmenu」を使ってお客様のスマホからオーダーする。来店後、着席したテーブルがPaper Beaconによって特定され、事前にオーダーしたデータがMicrosoft Azureを経由してPOSターミナルへ送信される。さらにキッチンのマルチプリンターにて印字処理が行われ、料理を開始。通常のハンディターミナルによる店舗のオペレーションに変更はなし。
今回、Putmenuを初めてPOS(オーダーシステム)連動で導入したのは、東京都渋谷区にある「Pizza&Winery ESOLA shibuya」。
イタリアンを中心にさまざまな業態の外食店を運営する株式会社ヴィクセス(東京都渋谷区)の旗艦店舗で、約80種類のワインを、時間制限なしの飲み放題で提供するなど、人気の高いレストランとして知られている。
同社取締役営業本部長の安田容行氏は導入の背景について、「飲食店の運営には常にマンパワー面で課題があり、今後見込まれるインバウンド需要の拡大などをにらむと、効率化を図る意味でも、何か新しい仕組みを取り入れていく必要があると考えてきました。ボクシーズの鳥居社長からオーダーシステムの提案を受けた時に、新しいことならまずはチャレンジしてみようと考えました。また売上や受発注、勤怠管理などのデータ処理についても効率化していきたいと考えていたので、そうした面での効果も期待したい。さまざまな可能性を感じています」という。
運用開始後、さまざまなメディアで取り上げられ、話題性が集客につながり、アプリ使用客も増えている。
店舗としては、電話やネットでの予約とは異なり、キッチンのオペレーションを変える負担がなく、注文業務やレジ業務を軽減することができる。
また席を確定するための「ペーパービーコン」は、テーブルの裏側に貼るだけ。「ESOLA shibuya」の場合もスタイリッシュな内装イメージや雰囲気を壊す心配もなかった。
同社では、運用状況や効果を分析しながら、今後の新規出店にあたっても、同様のシステムの導入を検討しているという。
システムの提供を行うボクシーズ株式会社の代表取締役・鳥居暁社長は、システム開発の目的やメリットについて次のように説明している。
「決済を自動化した小売店“Amazon Go”が話題となるなど、店舗のオペレーションは常に進化していきます。『Putmenu』を使用したオーダーシステムの提供は、飲食店の次のステージを提案するものです。目的は飲食店における注文業務と会計業務の軽減と、売上の拡大につなげること。飲食店の場合、店舗スタッフの業務を効率化することで、より少ないスタッフでの運営が可能になります。また業務が軽減された分を別のサービス強化に振り向けることもできます」
また、単に注文業務や会計業務を軽減するだけでなく、POSと連携することによって、プロモーション戦略や売上拡大につながる高度なデータ分析も可能。
「今回シャープさんのPOSターミナルを導入した理由としては、機器自体の信頼性が高いほか、もともとシャープさんが飲食店向けに、オーダーシステムやデータ分析ツールと連携したソリューションを提供してきた実績があったことが大きい。さらに感謝しているのは、シャープさんがわれわれのアイデアに関心を持ち、システムの細部にわたって相談に応じてくれたことですね」(鳥居社長)
このほか集客面では、東武トップツアーズ株式会社(東京都墨田区)との連携によって、Putmenuを導入した店舗について、訪日観光客の集客に向けた施策を実施していくことにしている。
店内業務の効率化だけでなく、店舗運営の強化に向けた提案をめざす新アプリ「Putmenu」。今後の動向が注目される。
2017年9月発行
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