株式会社リンガーハット 様
フードコート内の呼出しベルの発行をセルフ化する
新システムを導入
さまざまな出店形態の店舗を運営するリンガーハットは、店舗ごとに異なる条件でも効率的に対応できるオペレーションシステムの導入を戦略的に推進している。
こうしたなかでフードコート内など、混雑が集中する店舗に適した最先端のシステムとして期待されているのがシャープの「呼出しベル連動セルフ注文機」だ。
- 「ダイヤモンド・チェーンストア」ダイヤモンド・リテイルメディア発行2018年9月15日掲載記事広告より。
より先端的な取り組みとして「呼出しベル連動セルフ注文機」を導入し実証運用。フードコート店舗での混雑度が高いランチ時間帯で効率化とスピードアップを期待。
セルフ注文機の利用率向上が鍵。利用率が40%以上の路面店ではセルフ注文機を好む層も登場。
導入の背景
ピークの集中度が高いフードコート立地店で効果検証を進める
株式会社リンガーハットは「長崎ちゃんぽん リンガーハット」「とんかつ濵かつ」など約750店舗を展開。店舗業態ごとに、完全子会社のリンガーハットジャパン株式会社などが運営を行っている。
株式会社リンガーハットでシステム業務を担当する経営管理グループ情報システムチーム チームリーダー・是末英一氏は、「当社店舗は立地や規模などが店舗ごとに異なるため、レジシステムなどを個別に検討し、それぞれに適した方式を採用しています。前払い精算制で運用するセルフ方式の店舗や、ハンディターミナルでオーダーを取り、後払いを行うフルサービスの店舗などのほか、ドライブスルー導入店もあり、多様な使い分けが必要となっています」という。
そうしたなかで、より先端的ないくつかの取り組みを導入し、実証運用を行っている。
「呼出しベル連動セルフ注文機」の導入はこうした取り組みのひとつで、2018年4月から運用を開始したリンガーハットジョイフル本田瑞穂店が3店目となる。
来店客はメニューが表示されたタッチパネルで商品を選び、精算を行うと呼出しベルが自動的に発行される仕組み。オーダーはキッチンに自動的に伝達される。呼出しベルが鳴ったらお客様が商品を受け取りに行く。(図 使用フロー参照)
お客様のメリットは、注文時にレジに並ばなくてよく、商品受け取り時のみカウンターに行くという点である。
是末氏は、「フードコート内店舗という特性から、ランチ時間帯の混雑度が高く、とくに週末は集中します。呼出しベルの発行をセルフ化することで効率化とスピードアップが図れるのではないかと考えました」と導入のねらいを語る。
選定理由と活用状況
最新機種ならではの操作性や多様な機能が店舗でも好評
リンガーハットジョイフル本田瑞穂店は、ホームセンター「ジョイフル本田瑞穂店」の2階で、リンガーハットを含む13店舗が営業するフードコート「DINING VERANDA」内に立地。
カウンターには、省スペース型で背面ディスプレイが活用できるシャープのPOSターミナル「RZ-E606」を2台設置。通常のレジ業務を行うほか、隣接して「呼出しベル連動セルフ注文機」を設置している。
同店店長の相田祥氏は、「今のところ全オーダーの中でセルフ注文機の利用率は20%程度。導入から時間が経つにつれ、お客様も慣れてきて、徐々に利用率が上がる傾向にあります」という。
現在、混雑時の行列は通常レジとセルフ注文機で分けず、レジ前まで来たお客様がどちらかを選ぶスタイルで運用。レジ2台をフル稼働するほか、スタッフ1人がカウンターの外に出て、セルフ注文機の利用を呼びかけて誘導する。また利用方法を説明する「セルフレジご利用の流れ」も掲示している。
相田店長は「セルフ注文機の場合、まだタッチパネルの前でとまどうお客様がいらっしゃいますので、どうしても外に1人必要です。混雑時以外でも、操作に迷っているような場合は通常レジのカウンターにいるスタッフが声かけするようにしています」という。
また呼出しベルが自動で発行されるということへの認知自体が広がっていないため、通常の飲食チェーンによく設置されている食券の自動販売機と誤認してしまう例も少なくない。
しかし、これまで同じセルフ注文機を運用してきた路面店では、利用率が40%以上に達しているケースもあり、ある程度時間が経過すると、むしろセルフ注文機を好む層も出てくるという。
是末氏は、「今後も検証を続けていきますが、理想とするのはピーク時にたとえば3人必要なカウンターを2人で回せるようにし、1名は商品説明や客席の案内を行い、サービスの向上につなげたい。そのためには、よりセルフ注文機の利用率を高めていく必要があります」という。
今のところ慣れていないお客様がセルフ注文機を操作するより、カウンターのスタッフが通常レジで応対するほうが、平均して処理速度が速い。
相田店長は「混雑時はセルフ注文機と通常レジ2台をフル稼働するとして、それ以外の時間だけでもセルフ注文機の利用率が上がれば、それだけ業務が効率化できることになります」という。
またセルフ注文機の運用には、釣り銭や呼出しベルの補充といった新たなオペレーションが必要になるほか、複数の注文とトッピングの注文があった場合、どの商品にトッピングすべきかを確認してから提供するなど、異なる対応が必要となる。
相田店長は「呼出しベルは混雑時でも1回の補充で乗り切ることができる状況ですが、トッピングについては、セルフ注文機でも明確化できる仕組みが欲しい」と指摘する。
将来の活用イメージ
利用率の向上につながる細部のデザインをさらに検討
是末氏は「利用率の向上が課題ですが、そのためにできることはまだまだあると考えています。たとえばタッチパネルの表示からオーダー画面に進んでいき、精算までたどりつく手順をよりわかりやすく改良すること。どんなデザインが最も操作しやすく、早くオーダーできるのかについてはさらに検討を進めていきます」という。
また、金券やクーポン、お持ち帰りなどの処理は通常レジでしか対応できないが、交通系ICカードの利用は通常レジでもセルフ注文機でも対応でき、お客様の精算方法によって使い分けが必要。こうした理解を浸透させるため、表示の貼り出しも行っている。よりわかりやすい方式に改良できないかについても、シャープと連携して検討を進めている。
現在、条件の異なる店舗からセルフ注文機の導入要望が出ているため、今後も導入店舗を増やし、最適な運用を模索していく方針だ。
また同社の一部店舗では、シャープのPOSターミナルとセルフオーダーアプリケーション「Putmenu(注)(プットメニュー)」を活用し、入店時にお客様のスマホで注文を行うことで、調理・配膳・会計が完了するシステムの導入も行われている。
「このシステムではオーダーと会計をお客様自身で行うことにより、いつでもオーダーが可能で、レジの待ち時間もゼロになるので店舗にとってもお客様にとってもメリットがあります。今後も店舗の特性や立地ごとに、さまざまなシステムを積極的に検討していきたいと考えています」(是末氏)
飲食業にとって、人手不足は今後も大きな課題。省力化を図りながらお客様に利便性を提供するこれらのシステムは、ひとつの方向性を示しているといえそうだ。
- Putmenuはプットメニュー株式会社の販売商品です。
2018年9月発行
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