アマゾン ウェブ サービス（AWS）事例技術解説

Aのご要望から、使いたいときだけ利用でき、利用した分だけ料金が発生するAWSが最適なサービスであると考えました。またBを実現するためには、動画を低遅延で、様々なデバイスから快適に視聴できることが必要であると考えました。具体的な実現方法については(2)以下でご説明します。Cについては、決済サービスを提供する外部ベンダ－にご協力いただき実現しました。

今回の配信にはAmazon S3（ストレージサービス）とAmazon CloudFront（コンテンツ配信ネットワーク）を利用しました。全国にある複数のキャッシュサーバーから自動で圧縮されたファイルを転送するため、動画が配置されたサーバーへの負担を減らしつつ通信の遅延を低減することができ、受講者は快適に動画を視聴できます。

また配信用の動画をS3に配置し、CloudFront経由でのみアクセスされるように設計しました。これにより、アクセスが制限された安全な環境を実現することができます。その他の特徴として、S3は少なくとも3つの物理的に離れたデータセンターにデータを格納しています。そのため、このうちどこか1つのデータセンターがダウンしてしまっても配信に影響はなく、高い可用性を維持することができます。

今回の配信では、お客様から1講座あたり2GBほどのMP4形式のファイルをいただくことが決まっておりました。しかし、そのまま視聴しようとすると2GBすべてがダウンロードされるのを待つ必要があります。再生開始までの時間を短縮するため、また、受講者の通信環境やデバイス（PC／スマホなどの画面サイズの違い）に応じて最適な解像度で再生ができることや、様々なデバイス（Mac、Android、Windows、Linux）に対応していることから、ストリーミング配信に適したHLS形式に変換しました。今回はこの一連のシステムをAWSを用いて実現しました。

変換処理にはAWS Elemental MediaConvertを使用しました。このサービスは動画ファイルを様々な形式に変換するサービスです。しかし動画1つ1つを手作業で変換するのは時間がかかるため、AWS Lambdaを用いて自動で行いました。Lambdaは、コードを記述して起動条件を設定するだけでプログラムを実行できるサービスです。今回はお客様からの動画のアップロードを起動条件としました。Elemental MediaConvertのジョブテンプレートを利用し、あらかじめ変換したい画質を設定しておくことで、変換作業を自動化することができました。

今回のように期間限定で動画を配信する際にAWSを利用すれば、配信期間終了後に動画などのリソースを削除することによって、その後の費用の発生をなくすことができます。クラウドの特徴を最大限に生かしたソリューションですので、動画配信を検討されておりましたらお気軽にご連絡ください。

また動画配信に限らずクラウドサービス導入のサポートを行っておりますので、ご相談などありましたらお問い合わせください。